極上御曹司のイジワルな溺愛
一連の流れがわかり、納得と頷く。
「薫さんは本当に、里桜さんと奈々ちゃんのことが好きなんですね」
「だからって逃げることないと思わない? 話もさせてくれないんだもの、どうしたらいいのかわからなくて」
「そういうことですか……」
う~んと探偵よろしく顎をさすり、どうしたものかと思案する。
まずは里桜さんと薫さんを、どこかで会わせる必要がある。しかも薫さんに逃げられないようにしないといけないから、私ひとりでは難しかもしれない。
また麻奈美に頼む?
あーだこーだ考えていると、鞄の中のスマホが鳴り出した。
「麻奈美? 里桜さん、ちょっとすみません」
席を立ち、店の隅へと移動する。
「もしもし? 麻奈美、どうした?」
『椛、ごめん。副社長にバレた。雅苑を出たところで捕まって、椛はどこにいる? 教えないとクビって脅された』
「マジで? 脅すって、ありえないわぁ……」
『でね、椛に電話するように伝えろって』
「……そう、わかった。ありがとう。迷惑かけて、ごめん」
休日のランチを奢ることを誓わされ電話を切ると、肩を落として里桜さんの元へと戻った。