極上御曹司のイジワルな溺愛

私が戻るや否や里桜さんが「どうかした？」と、私の顔を覗き込む。

「バレちゃいました」
「もしかして、副社長？」

こくんと頷く。里桜さんも「そう……」と苦笑顔だ。

「仕方ないんじゃない？　ここへ呼んだら？」
「いいんですか？　蒼甫先輩が関わると、厄介なことになるかもしれませんよ？」
「厄介って。里中さん、面白い人なのね」

里桜さんはそう言って、涙を流しながら笑っている。

なんか私、おかしなこと言ったかしら……。

なんだか腑に落ちない気持ちでいると、またスマホが鳴り出す。画面を見れば【蒼甫先輩】の文字。

出るべき？　

スマホとにらめっこしていると、里桜さんが私の耳元で「あれでいて彼、結構お兄さん思いなのよ」と呟いた。

そうなんですか？　と疑いの目を里桜さんに送り、渋々電話に出た。