極上御曹司のイジワルな溺愛

「ここは一旦停戦して、お蕎麦をいただきましょ」

里桜さんの提案に一瞬目を合わせると、お互いフンッとそっぽを向いた。

まあここは里桜さんの顔を立てて、目の前にこんもりと盛られているもりそばを食べることにしよう。

実は私、蕎麦には目がない。さっきから楽しみで、ソワソワしていた。

まずは蕎麦の香りを楽しむために、つゆに付けないで一口すする。

「……美味しい」

蕎麦の味や香りが濃厚であるのはもちろん、潔く切れる食感も最高だ。

「蒼甫先輩、こんな美味しい蕎麦初めてじゃありませんか? さすが里桜さんですよね」
「あ、ああ、そうだな。確かに旨い」
「これなら、もう一人前食べられそう」
「旨いものは腹八分目にしておいたほうがいいぞ。それとも何か、今以上に体重増やすつもりか?」
「え? それはちょっと……って蒼甫先輩! また体重のこと言いましたね!」

あまりの蕎麦の美味しさに興奮気味で話していると、前に座っている里桜さんがクスクスと笑いだす。

「仲がいいのね。まあ今更な気もするんだけど、ふたりは付き合ってるってことでオッケー?」
「うグッ……」

何を言い出すんですか、里桜さん!

唐突なことに驚き、食べていた蕎麦を吹き出しそうになる。



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