極上御曹司のイジワルな溺愛

「な、何するつもりですか?」

聞いても蒼甫先輩は何も答えてくれない。その代り、かどうか知らないけれど、右手を私の頬に手を添えて、ゆっくりと顔を近づけ始めた。

これってまさか、キスするつもり!?

あっという間に蒼甫先輩の顔が数センチまで近づき、慌てて手を上げ彼の胸に手を押し当てる。

「どういうつもりだ?」
「どういうつもりって、それはこっちのセリフです。ここおそばやさんですよ? それに里桜さんも……」

こんな場面を見せられたら困ると思ったのに。

「あ、私のことは気にしないで。そのまま続けて」

なんて言うから、驚きしかない。

「キスなんて、アメリカじゃ日常茶飯事よ」
「里桜さん! ここアメリカじゃなくて日本ですから!」

人前でキスする習慣、ありませんから!

もう! 蒼甫先輩も里桜さんも、思考回路がおかしくなってるんじゃないの!?

「勘弁して下さいよぉ……」

私と蒼甫先輩を見てクスクス笑っている里桜さんが、悪魔に見えた。





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