極上御曹司のイジワルな溺愛
惚れた欲目──
惚れてしまった人のことは、欠点ですら愛おしく思えてしまうらしい。
蒼甫先輩は一般的に見て、欠点のある人ではない。人当たりもいいし、上司としての人望もある。見た目も素敵な王子様みたいと噂だし、スタイルもいい。
でも私にしてみれば、癖のあるあの性格は欠点の何ものでもないし、偉そうな態度は気に入らない。
でも二人っきりでいると、嫌だと思っていることでも許せてしまうのは、やっぱり“惚れた欲目”なのかもしれない。
ということで──
今私は客室に付いている露天風呂に入っている、蒼甫先輩も一緒に。
もちろん最初は全力で拒否した。
一緒に入るだけで何もしない──なんて蒼甫先輩の言葉には説得力がない。信用できなきからバスタオルを巻いてなら、と了承を得て今に至っている。
「開放感があって、いい湯だな」
確かに蒼甫先輩の言う通り、露天の湯は開放感があって庭の景色も素敵だ。でも私と言えば、開放感とは程遠い状態にある。
後ろから羽交い締めのように抱かれていては、開放感おろか自由もない。これでは約束が違うというものだ。
「いいお湯なのは認めます。けど、この状態は……」
「変なところは触ってないだろ? 一緒に入ってるだけだ」
口では蒼甫先輩に敵うはずない。