極上御曹司のイジワルな溺愛
じゃあ、なんなら勝てると言うのだろうか。
考えても答えが出ることはなくて身じろぎしようものならば、蒼甫先輩と密着している部分を感じてしまい動くことすらままならない。
打つ手なし──
ガックリ項垂れると、顔がお湯につかってしまい慌てて上げる。
「何してるんだ」
蒼甫先輩はそう言うやいなや私の腰を掴み上げ、いとも簡単に体をクルッと回してしまう。当然私と蒼甫先輩は向かい合うこととなってしまい、胸元のバスタオルをグッと持ち上げた。
「な、なにするんですか!」
「何って、椛が溺れるといけないと思ってだな」
「露天風呂で溺れるはずないでしょっ! 私は子供?」
片手で胸元を押さえたまま、蒼甫先輩に攻め寄る。
「チュッ」
その音と同時に私の唇に触れたのは、蒼甫先輩の唇。
「あ……」
興奮しすぎて、顔を近づけすぎてしまったみたい。だからといって、いきなりキスするのはどうかと思うけれど……。
「いきなりキスするなとでも言いたそうな顔だな。でも、さっきのは良かった」
「さっきの?」
何が良かったと言うのだろう。
「俺に詰め寄った時、敬語を使わなかった」
「ああ」
そう言えば、そうだったような気がする。でも興奮していて、よく覚えていない。
「自然体な椛の方がいい」
そう言いながら頬に添えられた手に体がピクッと反応し、同時に鼓動が速くなる。