極上御曹司のイジワルな溺愛

「実はもう、千夜さんには連絡した。今日から暮らせるようにしてもらっているから、今住んでいるところはすぐに解約しなさい」

「解約……ですか?」

「今回の失敗を教訓に、ちゃんとした生活をするように。そのための第一歩だと思えばいい」

あまりにも突然で急展開な話に、私の脳ではついていけない。

「椛、良かったじゃない。これで私も一安心だわ。会長、椛のこと、よろしくお願いします」

「ああ、任せろ。なんなら、遠山さんの面倒も見るぞ?」

「いや~、それは結構です」

なんて、ふたりで勝手に盛り上がり、私ひとりが置いてけぼり。話がどんどん進んでしまって、為す術がない。

「あ、あのぉ……」

話の途中で割り込むのは申し訳ないが、このまま待っていても埒があかない。

「ああ、悪い悪い。こっちは話がついたが、椛ちゃんは大丈夫か?」

大丈夫かって、それを今聞く?

ここで私が嫌ですとか言える雰囲気じゃないし、言ったところで却下されるのは目に見えている。



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