極上御曹司のイジワルな溺愛

でもよく考えてみれば、確かに最高な優良物件なんじゃない?

家賃ゼロ、通勤時間もほぼゼロ。食事の心配もいらないなんて言ったら、誰もが飛びつくこと間違いない。

また甘えていると言われそうだけど、そこでお手伝いの千夜さん? に一から鍛え直してもらえば一石二鳥だ。

「どうするの、椛?」

麻奈美の声に我に返ると、会長に向き直る。

「お言葉に甘えて、今日からお世話になります」

ベッドの上で頭を下げると、その肩に温かい手が載せられた。

「椛ちゃんには、まだまだ雅苑で頑張ってもらわないといけないからな、歓迎するよ。我が家だと思って自由に過ごせばいい」

会長の柔らかい物言いに、重かった体がスーッと軽くなる気がした。

明日はタイミング良く、仕事は休み。体の調子を整えながらのんびりゆっくり、二度目の引っ越しとなりそうだ。

慌ただしかった一週間がこれで一旦落ち着きを取り戻せるかと思うと、安堵する自分がいた。



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