極上御曹司のイジワルな溺愛

そんな自分が嫌で、なんとか変わろうと思ってたのに……。

何でも器用にこなす蒼甫先輩に、私の気持ちはわからないんだろう。

「仕方ないよね」

ひとりだったらスッピンでもいいと思っていたが、蒼甫先輩も一緒なら化粧しないとマズイか。

渋々化粧ポーチを開くと手早く化粧を済ませ、憂鬱な気持ちのまま部屋を出た。

階段の上に差し掛かると、蒼甫先輩が玄関のドアにもたれ腕を組んで待っている姿が目に入る。慌てて階段を駆け下りて、先輩のもとへと向かう。

「遅い。俺を待たせるとか、相変わらずいい根性してるよな。昼飯、おごれよ」

「すみません! ってお昼、一緒に食べるんですか?」

聞いてないし……。

「嫌なのか?」

「い、いえ。滅相もないです」

そんな威圧感たっぷりな態度で言われたら、嫌だなんて言えないですって。

荷物運びは早く済ませて、すぐに退散と思っていたのに。当てが外れた。

相手は先輩で、しかも副社長。

言いたいことがあったって、文句なんて言えやしない。



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