極上御曹司のイジワルな溺愛
今日私は、いつ蒼甫先輩から開放されるんだろうか──
わからないまま、蒼甫先輩の車に乗り込んだ。
彼が乗っているのは、車に疎い私でも知っている高級車メーカー。
さすが副社長! と言いたいところだが、乗り慣れてない私はなんだか落ち着かない。
それよりなにより、気まずい。いや、気まずいを通り越して息苦しい。
車の中って、ちょっと狭すぎじゃない!?
この狭い密室空間の中でふたりっきりだとか、好きな相手ならともかく蒼甫先輩とだなんて……ないわ。
ちらり蒼甫先輩を横目で見ると、ステレオから流れる音楽に合わし体を小刻みに揺らしている。
なんだか、楽しそうにしてるじゃない。
これから向かうのは、駅で一区間しかない叔父のウィークリーマンション。引っ越しとは呼べないほどの、少量の荷物を運ぶだけ。
ただそれだけのことなのに、なぜそんなに嬉しそうなのか。
蒼甫先輩、謎すぎる──