極上御曹司のイジワルな溺愛
息苦しい思いをしたのもつかの間、電車で一区間の距離は車だとあっという間にウィークリーマンションに到着。
「よし、さっさと運ぶぞ」
車を停めた蒼甫先輩が降りようとするのを、腕を掴み慌てて引き止める。
「先輩はここで待っててください! 大丈夫、私ひとりで運べますから」
そう、大丈夫、大丈夫。
蒼甫先輩を車から出さないように手を上下にさせジェスチャーで大丈夫と伝えながら、ゆっくりと車からひとり出る。
ドアを閉める前ににっこり作り笑顔を見せると、蒼甫先輩がプッと笑いだした。
「椛の頭ン中は、小学生並みだな。どうせ部屋が汚いんだろ? そんなの俺は気にしない」
蒼甫先輩はスッと車から降りてしまい、私の一連の行動は無駄に終わってしまう。
先輩が気にしなくても、私は気にするんです!
ああ~どうしてわかんないかなぁ、女の気持ち。
いくら相手が先輩でも、汚れている部屋は見られたくないというのが女心。
できる男だと言われていても、そのあたりは鈍感らしい。