極上御曹司のイジワルな溺愛

蒼甫先輩は私のことを昔と変わってないと言っていたが、その言葉そっくりそのまま先輩に返したい。先輩は今でも同級生や後輩から尊敬される存在で、先輩も仲間を大切にしている。

もちろん尊敬されるのには理由(わけ)がある。

学生の頃から勉強熱心で成績も優秀だった先輩は、大学を卒業後もその姿勢を崩さない。

独自に経営学を学ぶため一年間留学をし、帰ってきてからも雅苑のためにウェディングプランナーやMC、結婚式に必要なノウハウを叩き込み、時折仲間を誘っては勉強会と称した講義やセミナーも開いてお互いの知識を高めあっている。

仕事はできるし何でもそつなくこなし賢くて、人当たりは柔らかで皆に別け隔てなく優しい。子供の頃は美少年と呼ばれていて今は容姿端麗なら、男女問わず憧れの的になるのも頷ける。

それなのに、何故か私にだけ厳しいのは未だ謎だけど。

こんな人と結婚したら、幸せになれるんだろうなぁ……。

……って、これは世間一般の話で!

頭の上に広がっていた妄想を手で吹き飛ばし、ベッドの上に脱ぎ捨てられている服をスーツケース放り込む。



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