極上御曹司のイジワルな溺愛
それを見ていた蒼甫先輩が、
「お前はガサツか。こういう服やTシャツは、こうやって丸めて……」
蒼甫先輩は私の手から服を奪うと、いとも簡単に服をたたみクルクルと丸めた。それをひとつずつスーツケースの中に並び入れ、「よしっ」と満足気に言ってからドヤ顔で私を見上げた。
「詰めるってのは、こういうことだ。わかるか?」
「はぁ、なんとなく」
「なあ、これって洗ってあるのか?」
「さ、さあ。どれが洗ってあるのか、自分でもよくわからなくて」
すみませんと苦笑い。
「椛には教えることがたくさんありそうだな。明日からが楽しみだよ」
蒼甫先輩はそう言うと、肩を落とし溜息をつく。
先輩。楽しみだよと言うわりには、顔が面倒臭そうですけど。だったら私は、教えていただかなくても結構なんですけどね。
そう喉まで出かかって、それを寸前のところでゴクリと飲み込んだ。