FatasyDesire~ファンタジー・ディザイア~
「絶対に、絶対に……クレドのおよめさんになるっ。クレドも絶対、キリエのおむこさんだよ」
涙を洋服の袖で拭いながらそう言う少女に、少年は「うん」と笑ってみせた。
――――約束だね
キリエは何度もこちらを振り返りながらも、最後に大きく手を振ってから今度こそちゃんと車に乗った。
大丈夫だろうか。彼女は幸せに暮らしていけるだろうか。泣いたりしないだろうか。
いろんな事が心配で、不安で、クレドは手を振りながら車が見えなくなるまで見送った。
「キリエ……」
我慢していた涙が、白い頬を伝い、紺色のセーターを濡らした。
少年は少女の幸せだけを願いながら、祈りながらそれからの生活を送った。