鏡の国のソナタ
パタンと玄関のドアが閉じて、素奈多一人が取り残される。

「なによ……っ! なによなによなによなによっ!」

ヒステリックに叫んで、素奈多はクランから渡されたクッションを「ぐー」で思いっきり殴りつけた。

「ほんとに、置いてくことないじゃない! あたしだって、本気で帰ってこなくていいなんて思ってないのに……。いっつも意地悪言うから素直になれないんじゃないの! 莫迦クラン! ばかばかばかばか!」

クッションが、ボコボコだ。

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