鏡の国のソナタ
「素奈多!」

クランが、叫んだ。

九嵐も、説得するように優しく言う。

「ばかなことはやめたまえ。クローンに設定された寿命は、どうすることもできないんだ」

素奈多は、ゆらゆらと首を振った。

「どうして? クローンだって生きてるでしょ?

感じてるでしょ?

心、あるでしょう?

ねぇ、先輩。クランはクローンだけど、ちゃんと意志を持ってるの。

先輩のクローンだけど、先輩とはぜんぜん違うんです。

でも、違うってことが、あたし、嬉しい。

彼はクローンかもしれないけど、間違いで生まれたかもしれないけど、だけど……」

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