鏡の国のソナタ
「名前? あたしがつけるの?」

おずおずと素奈多が訊く。

「そう。かっこいいのたのむぜ」

裸の男は、ニッと笑って促した。


ああ、でも、笑うと、憧れの九嵐先輩と同じ顔だ……。


素奈多は泣きそうになった。

「そんなの、クランしか思い浮かばないよ……」

すねたようにつぶやいた。

だって、本当に、その顔にはクランっていう名前しかふさわしくないような気がするのだ。

< 65 / 267 >

この作品をシェア

pagetop