鏡の国のソナタ
素奈多はがっくりと肩を落とした。

男は鼻を鳴らした。

「クランね、ふうん。ま、いっか……」

男、いや、クランは殻を食べ終わり、指を旨そうにしゃぶった。

その、なんとなく下品な動作を見守って、素奈多はため息をついた。

「信じられない……。ホントそっくり……」

クランは、落胆する素奈多を見て楽しそうに言った。

自分を親指で指し示す。

「ははん。おまえ、こいつに惚れてんな?」

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