銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 目を潰さんばかりに輝くあの球体は、まさしく太陽だ。

 噴き出すコロナが肉眼で確認できるほどの、威圧的なまでに巨大な太陽が、ふたつも仲良く並んでる。

 ジリジリと全身を焼くような、強烈な熱気が空から襲い掛かってくるだけでも充分常識知らずな光景なのに、しかも……。

 あたしは、恐る恐る視線を後ろを振り向いて、絶句した。

 遥か空の彼方に……月も、同時に出ているなんて……。

 煌々と輝く月の周囲は、濃い藍色の夜の空。
 そして様々な色彩に瞬く無数の星々。

 天空のカッキリ半分が昼の空。残りもう半分が夜の空。

 そしてその境目には、ふたつの空を分断するように、細い虹の滝が流れている。

 まるで天の川みたい。虹の光の粒子が、滝の水飛沫のように煙っている様子までもがよく見える。

 これはやっぱりどう考えても、ここって鳥取砂丘じゃないと思う。
 それどころか地球ですらないかも。
 ここって……

 どこなの???

 あたしは呆けた頭を抱え、太陽と月と星と砂漠を見回しながら、しばらく座り込んでいた。

 そうしてるうちに、事態が変化してくれるんじゃないかと期待しながら。

 ひょっとしたら、そのうち目が覚めるんじゃないかな?
 見慣れた自分の部屋の、自分のベッドの上で。

 それで、『ああ良かった。やっぱり夢だった』って胸を撫で下ろすんだ。

 きっとそうよ。きっと。
 きっと。

 ……。

 でも。

 いくら待ってもあたしの目は覚めず、この世界は変わることは無かった。
< 12 / 618 >

この作品をシェア

pagetop