銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 涙が頬を流れ落ちる。

 満天の空の星が、次々と流れていくのが見えた。

 流れ落ちる音が聞こえないのが不思議なほどの流星群は、ただひたすらに美しい。

 そして、星のように涙を流すあたしは、口を開けて空を見上げる。

 闇の世界の星々の宴の、圧倒的な世界の下で、ちっぽけなあたしが誰にも知られずボロボロ泣いている。

 誰も知らない。
 それでいい。
 あたし自身が知っているから。

 涙がひとつ。星がひとつ。流れるたびに、心が洗い流される。

 慰められている気がする。

 ここから一歩を踏み出そうとしているあたしを、励ましてくれている気がする。
< 157 / 618 >

この作品をシェア

pagetop