銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 決然とジンはそう言い放った。

 その、一切の揺るぎの無い声を聞いたあたしは、思い出す。

 城の中の、金色に輝く豪華な調度品。

 貴族達が競う豪勢な衣装。

 眩いほどに光り輝く装飾品。

 無駄なほど大量なご馳走の量。

 普通に暮らしていくのに、何もあそこまで豪華絢爛になる必要はどこにもない。

 それは、ただの欲だ。

 欲を満たす為だけの過剰な生活。

 人間の不必要な贅沢の為に、精霊達が奴隷のように使役されている。

 そのうえ貴族だけじゃない、一般の国民全域の日常生活まで、精霊達は支え続けなければならない。

 そう。あたしは知ってるんだ。

 そんな酷い目に遭わされて、『許して』と言われたところで聞く耳など持てない。

「オレ達は憎んでいるんだよ。人間を」

 そう。憎んでいる。

「憎い人間をどうして救わなきゃならない? オレ達が?」

 憎くて憎くてたまらない。
 なのにどうして許せる? 許せるはずが無い。

「救うどころか滅んで欲しいんだよ。一人残らず根絶やしにしてやりたい」

 他の誰が許しても、あたしだけは絶対に許さない。

 仕返ししてやる。復讐してやる。不幸にしてやる。

 あたしにだけは、その権利がある。

「苦しみ抜いて死んで滅びろ。人間など」

 あたしを裏切って傷付けた彼も、あの娘も、不幸にまみれていっそ死ね。

 あぁ……確かにあたしは、そう思った。
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