銀の精霊・森の狂王・時々、邪神
 まるで誰かに整えられたように、行儀の良い姿でモネグロスは横たわり、ピクリとも動かない。

 意識不明!? まさか、死んでる!?

「モネグロス! モネグロス! モネグロス――!」

 私の叫び声になんの反応もなく横たわるモネグロスのすぐ側に、誰かが佇んでいる。

 薄暗い空間の中、浮かび上がるようなその白い影は……

「番人!……あんた! モネグロスに何をしたの!? 何をするつもりなのよ!?」

 怒鳴るあたしの頭上に、ジン達の姿が現れた。

「番人―――――!!」

 怒声を張り上げ、凄いスピードで番人の下へ飛んでいくジンの髪と服が、風を孕んで大きく膨らむのが見えた。

「モネグロスから離れろおおぉ―――!!」

 叫びと共に、目に見えない風の刃が地面を切り裂きながら番人に襲い掛かる。

 それと同時に、怒りに形相を変えたイフリートが、巨大な紅蓮の火の玉を番人に向けて放った。

 風と火の連鎖攻撃。炎の鎧を身に纏った風の刃が、轟音と共に番人に飛びかかる。

―― ドオオォォ……ン!!

 すさまじい衝撃が襲ってきて、あたしとヴァニスと双頭の馬が、揃って宙を飛んだ。

 吹っ飛ばされ、地面に激しく叩きつけられ、勢い余ってゴロゴロと転がる。

 ……なにが……起きた?

 グラグラと回る目と頭で、懸命に状況を理解しようとするあたしの全身が激しく痛む。

 地面に激突した左足の膝関節が、特に酷く痛んだ。

 これ、ひょっとして折れてる?
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