銀の精霊・森の狂王・時々、邪神

「泣いてるヒマがあったら、狂王と戦ったらどうなのよ！？」

「で、ですから神は、おいそれと他種に手出しは出来ないのです」

「だったらせめて、アグアさんを助け出そうって気は無いの！？」

「気はあるのです！　本音を言えば戦いたい！　ですが……」

「が！？」

「その力が、私にはもう無いのです……うぅぅ！」

「こ……この、この、役立たずがあぁ！！」

「し、雫！　神に対して何て暴言だ！」

「暴言だろうが方言だろうが、知ったことか！」

　あたしは、イスに丸まって泣き続けているモネグロスを指差して叫んだ。

「コイツがこんな状態じゃ、アグアさんがあまりに気の毒すぎるわ！」

「こ、コイツって……」

「いくら神の力が衰弱してるからって、これはヒド過ぎよ！」

「いや、だから、衰弱以前の問題で、モネグロスは元々こういう性格……」

「余計悪いわ！！」

　いくらアグアさんがダメ男好きだとしても、時と場合によりけりよ！

　いい！？　自分を心から愛してくれた女を無碍に扱う男なんて、カスよカス！　男のクズ！

「あんた、男のクズになりたいの！？」

「いえ。決してそんなことはありません」

「だったら立ち上がりなさい！」

「は、はい……」

「違う！　誰がイスから立てって言ったのよ！」

「え？」

「決起しなさいって言ってるのよ！　アグアさんを取り戻しなさい！」

　愛する女を、苦しみから救い出してやりなさいよ！

　惚れた女の一人や二人、敵から奪い返せもしないで何が神よ！