蒼い時
「佐野さんって、入社何年目だっけ?」


どう思う?そう告げながらも、話題はすでに変わっている。


「二年目ですが…中途採用なので、社会人としては五年目です」


「確か…銀行出身だったよね?」


「はい、そうです」


銀行にいた頃の上司が、この社長に誘われて転職をしていた。


顧客の一人が、ストーカーまがいになってしまった事で、私に転勤の話が出ている頃だった。


被害者は私だとしても、相手は顧客で、立場が悪くなったのは私の方だ。


不憫に思った上司は、この会社への転職を世話してくれたのだった。
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