いちごアメ
学校に着いて考えることは、玲央のこと。


「本当に待ってんのかな…」


呟くように小さく言う。

ふと、蘇るのは昨日の…


『明日もここで待ってる』


絶対ウソだもん。

今日行って、居なかったらすぐに帰ろう。

絶対居ない、と決め付けて私は思ってた。


「凛?」


目の前に凌がいた。


「ぅわぁ…!!!」


驚愕して、椅子からひっくり返してしまった。

クラスの人達から、注目を浴びて笑われる。


「大丈夫、凛?」


凌もクスクスと笑いながら、手を貸してくれた。

私はコクンと頷いて、凌の手をとった。


―大丈夫、凌がいるじゃないか―

凌を裏切るな。


そんな気持ちが溢れ出てくる。


「凌…、今日…」


どうしようか、未だに迷ってる。

玲央のことがまだ、離れない…


「何だよ(笑)一緒に帰りてーのか?(笑)」


凌の笑いで、クラスの人達から優しい目を向けてくる。


「ゴメン…、今日は無理……」


凌の笑顔が消えた気がした。

今日だけだから………と思って、凌の誘いを断った。

クラスの人達の笑いが消えた気がした。


「明日、放課後デートしねー?(笑)」


凌からの誘いに、私は頷いた。








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