俺様ホストに愛されて


一瞬にして静まり返った店内。



ここにいた誰もが、あたしの声の大きさに振り返った。



や、やってしまった。



つい、ムキになって。



「ぶっ、くくっ……俺、このお店が好きなの?って聞いただけなんだけど」



恥ずかしくなって俯くと、すぐ隣からそんな声が聞こえた。



ええっ?



そう、だったんだ。



お腹を抱えて笑う白スーツさんを、あたしは恨めしく見つめた。



なんて紛らわしい。



いや、勝手に勘違いしたあたしが悪いのか。



「うん……でも、そっか。姫ちゃんの気持ちは、よーくわかったよ」



「き、気持ちって……」



なんか、勘違いされちゃった?



意味深な笑みを見せた白スーツさんは、ひとしきり笑い終えると



前方を見上げて、してやったり顔でほくそ笑んだ。



まさに、天使のような悪魔の微笑み。



「ほら、ナイトのお出ましだよ」



そう言って白スーツさんは、あたしの肩をポンと叩いたんだ。


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