俺様ホストに愛されて


ゆっくり頷くと、リュウは満足そうに笑ってまた歩き出した。



あたしはドキドキしながら、リュウのその横顔をちらちら見つめていたんだ。



「あんま見んなって。照れるだろ」



そんな風に言うリュウが可愛くて、あたしは一人密かに笑った。



リュウでも照れることってあるんだ。



だけど余裕振っていられたのはこの時だけで、リュウが住むマンションの中に入ったあたしは、思わず息を呑んで固まってしまった。



なにここ⁉



ホテルのフロントのようなロビーには、タキシードを着て爽やかに微笑む男の人が立っている。



豪華なシャンデリアに、明らかに輸入品だとわかるおしゃれなソファーとテーブル。



「お帰りなさいませ」



そう言って綺麗にお辞儀をするタキシードの男性。



普通に挨拶を交わすリュウの隣で、あたしも軽く会釈した。



でも内心、気が気じゃない。



だって、どう見ても普段着のあたしは場違いそのもの。



ドレスコードじゃなきゃ入っちゃいけない場所のような感覚。


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