俺様ホストに愛されて


「ありがとうございます」



「いえいえ、ではお気をつけて行ってらっしゃいませ」



にっこり微笑む赤坂さん。



行ってらっしゃいませだなんて、まるでどこかのセレブにでもなった気分。



ここに通うようになってからすっかり顔見知りになって、名前まで覚えてもらった。



フロントに人がいるってだけで、監視されているような気がして落ち着かないけど。



悪い人じゃないんだよなぁ。



リュウは毛嫌いしているみたいだけど、あたしにはその理由がわからない。



部屋を借りてないあたしにも優しくしてくれるし。



見る目がないあたしが言うのもなんだけど、直感的に悪い人ではないような気がした。



大人な雰囲気を纏った赤坂さんにお礼を言って傘を受け取り、お店までの道のりを急ぐ。



風も強いし、今日はいつもより寒い。



もうすぐ冬本番かな。



曇り空を見上げながら、そんなことを思った。

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