俺様ホストに愛されて
メニューとおしぼりを渡されて、とりあえずメニューに目をやる。
良かった、値段は普通だ。
雰囲気が高級だから、料金もそこそこするかもって思ってたけど。
持ち合わせがそんなになかったので、メニュー表の料金を見てホッとした。
「ご注文はお決まりですか?」
カウンターの向こう側にいるバーテンの人が、穏やかな口調でそう聞いてくる。
アルコール自体そんなに強くないし、飲む機会も少ないのでメニューを見てもさっぱりわからない。
「こういうところ初めてで……オススメってありますか?」
「それなら、とびっきりのがありますよ」
「じゃあ、それでお願いします」
そう言うとその人は早速準備に掛かった。
緊張と不安が少しほぐれたあたしは、くるくる回るスツールの背もたれに背中を預けてちらりと店内を見渡した。