俺様ホストに愛されて
「好きな人はいないんですか?」
うどんを口に放り込みながら市井さんに訊ねる。
「いないよ〜、24日も25日もがっつり出勤だしね。彼氏、なにしてる人なの?」
「え……っと、客商売です」
間違ってはない、よね。
実際、お客さんを相手にしてるわけだし。
「そっか。時々キスマーク付けてるから気になってたんだよね〜。最近指輪してるから、それで思い切って聞いてみたの」
キスマーク、バレてたのか。
ファンデーションとかストールとかで、うまく隠してたつもりだったんだけど。
あれ以来、リュウは見える場所にも堂々とキスマークを付けて来るようになった。
やめてと言っても聞いてくれないから、今はもうなにも言ってない。
それでも幸せだからいいんだけど。
いつかこの幸せが壊れる日が来るんじゃないかって、時々不安で堪らなくなる時がある。
思い過ごしであって欲しいけど、なにかあるんじゃないかって気がして不安は一向に拭えない。
リュウとずっと一緒にいれるよね……?
「あの子、昨日お店に来てた子だ」
市井さんが見ていたのは、ガラス張りの窓から見える正面のゲームセンター。
制服姿で友達とはしゃぐ女の子の群れがそこにはあった。