俺様ホストに愛されて
体が震えて思うように進めない。
体勢を立て直したみゆちゃんが追って来ているかと思うと、恐怖心ばかりが掻き立てられた。
早く、早く。
後、少し。
もうすぐそこまで扉は迫っている。
運動が苦手なあたしだけど、匍匐前進(ほふくぜんしん)で今までにないタイムを叩き出せていると思う。
なんとかたどり着いたあたしは、体を起こして扉の取っ手に手を伸ばした。
その瞬間
「逃がすかよ」
そんな声が耳元で聞こえたかと思うと、髪の毛を強く引っ張られた。
「いたっ……」
動きが止まり、伸ばした腕が無残にも床に滑り落ちる。
ぶちぶちと頭の方から髪が切れる音が聞こえた。
どうして
こんな目にあわなきゃいけないの?
あたしがなにしたって言うのよ。