俺様ホストに愛されて


「え……⁉妃芽……っ⁉」



寝ぐせのついた髪を掻き毟りながらスウェット姿で現れた太一は、あたしを見るなり困惑顔を見せた。



すぐさまみゆちゃんにも気付いて、あたしとみゆちゃんの顔を交互に見やる。



「なんで2人が一緒にいんだよ……?お前ら、ダチだったのか?」



何がなんだかわけがわからないといった顔。



それにしても、そんなわけないでしょーが。



冗談でもやめて欲しい。



みゆちゃんを掴んでいた手を離し、大きく息を吸い込んだ。



右手を大きく上げ、太一の頬目掛けて思いっきり振りかぶった。



バチンッ



鈍い音が辺りに響いた。



それと同時に手の平に衝撃が走る。



誰かを殴るのって、自分も痛いもんなんだね。



とっさに頬を押さえた太一は、本当にびっくりしたのか目を見開いたまま固まっている。



太一の手前だからかみゆちゃんも大人しくなってしまった。



冷たい瞳で太一を見上げた。


< 372 / 402 >

この作品をシェア

pagetop