俺様ホストに愛されて
「え……⁉妃芽……っ⁉」
寝ぐせのついた髪を掻き毟りながらスウェット姿で現れた太一は、あたしを見るなり困惑顔を見せた。
すぐさまみゆちゃんにも気付いて、あたしとみゆちゃんの顔を交互に見やる。
「なんで2人が一緒にいんだよ……?お前ら、ダチだったのか?」
何がなんだかわけがわからないといった顔。
それにしても、そんなわけないでしょーが。
冗談でもやめて欲しい。
みゆちゃんを掴んでいた手を離し、大きく息を吸い込んだ。
右手を大きく上げ、太一の頬目掛けて思いっきり振りかぶった。
バチンッ
鈍い音が辺りに響いた。
それと同時に手の平に衝撃が走る。
誰かを殴るのって、自分も痛いもんなんだね。
とっさに頬を押さえた太一は、本当にびっくりしたのか目を見開いたまま固まっている。
太一の手前だからかみゆちゃんも大人しくなってしまった。
冷たい瞳で太一を見上げた。