俺様ホストに愛されて


力が抜けてその場にへたり込む太一。



言い返す気力や反論する気力は残されていないのか、力なくだらんとしている。



「ほら、行くぞ」



「え……?」



呆然とするあたしの腰に手を回したリュウは、エントランスの方へ向かってあたしを引っ張った。



久しぶりのリュウの手の温もりに、鼓動がバクバク騒ぎ立てる。



恥ずかしくて顔を上げることが出来ないよ。



それに……さっき


人の女って……言ってたよね。


あたし、まだリュウの彼女でいていいの?


勝手に出て行ったあたしを恨んでないの?


嫌いになってないの?



恐る恐るリュウの横顔に目をやる。



するとピタッと足を止めた。



そしておもむろに後ろを振り返り、捨て台詞を吐いた。



「てめえら二度と妃芽に近付くんじゃねぇぞ。店にも一生顔見せんな」



あたしは後ろを振り返ることはしなかった。



ぐんぐんあたしを引っ張るリュウの横顔をずっと見つめていた。



「カッコ良い〜‼ますます惚れちゃったかも‼」



なんてマヤさんがそう言った声が聞こえてちょっと振り返りそうになったけど、腰に回された手が力強くなったのを感じてドキッとしたんだ。


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