俺様ホストに愛されて
まぁ、そんなことを言ってる場合じゃないか。
危うく警察沙汰になってたかもしれないんだし。
深刻そうなリュウの顔は、あたしをすごく心配しているように見えた。
「接客終わって控え室行ったらもぬけの殻で誰もいねぇし。で、監視カメラの映像見てお前らの話聞いて。ノボルも慌てて飛んで来るし」
あたしは黙ったままリュウの話に聞き入った。
「いてもたってもいらんなくなって、店飛び出して来た。あの場所は亜希ちゃんに教えてもらったんだ」
そう、だったんだ。
「……大丈夫、だったか?」
歩き出して初めて、リュウがあたしの顔をちらりと見た。
その視線は、あたしの首元を真っ直ぐ見つめている。
今更ながら、本当に怖い目に合ったんだと実感した。
「大丈夫だよ……大したことないし、リュウに言われるまで忘れてたから」
それは本当。
「お前なぁ……そうやって強がる癖直せよ?あんなことされて、大丈夫な奴がいるかよっ」
繁華街のど真ん中にも関わらず、リュウは立ち止まってあたしの体を力強く抱き締めた。
「ちょ、リュウ……?は、恥ずかしいよ」
リュウの腕と胸に包まれてドキドキしているくせに、出るのは強がりな言葉ばっかり。
「強がりなとこ直すって誓ったら離してやる」
「えー……なにそれ」