世界を濡らす、やまない雨
写真が包まれたコピー用紙の内側には、
「杏香へ」
と。
有里の字でそう書かれてあった。
有里が書いた字を見た瞬間、身体中がドクンと大きく鼓動する。
思い出すのは、私を真っ直ぐに見つめる突き刺さる矢のような眼差し。
このままではダメだ。
このまま目を逸らしたままではいけない。
私は身体中に電流が走ったみたいにばっと立ち上がった。
そして、有里と写った二枚の写真をつかむと駆け出した。
「道木さん!?」
誰かが後ろで私を呼ぶ。
けれど私は振り返らずに、有里を追いかけた。