世界を濡らす、やまない雨
走って走って、
会社の最寄り駅に差し掛かるところでようやく有里の背中に追いついた。
「有里!!」
有里の肩をつかんで名前を呼ぶ。
有里は驚いたように振り返って一瞬だけ大きく目を見開いたあと、私に冷たい視線を向けた。
「何?」
「あ、あの……」
「用がないなら離して。早く帰りたいんだけど」
話したいことはたくさんあるのに、どれから言えばいいのかわからない。
うまく言葉が纏まらない。
「あの、あのね……」
私は手にした二枚の写真を有里にも見せた。
「これ、ありがとう」
何とかその言葉を口にすると、有里が写真からも私からも視線を逸らして呟く。
「あぁ、別に。約束だったし……」