世界を濡らす、やまない雨
「どうする?鬼ごっこ、する?」
本音を言うと、鬼ごっこはあまり好きではない。
だけど、幼心に母に心配をかけたくないと思っていた私は、女の子の問いかけに伏し目がちに頷いた。
「うん、しようかな」
「じゃぁこっち来て」
女の子が私を友達と先生のところに連れて行く。
私が鬼ごっこの輪のなかに入ると、先生は安心したように微笑んだ。
「じゃぁ、じゃんけんで鬼を決めましょうか」
先生の提案で、みんなでじゃんけんをする。
そのじゃんけんで負けたのは、私だった。
一番最初の鬼になった私は、十数えて他の子達と先生を追いかけた。
でも、私は走るのがあまり得意ではない私は、走るのが速い他の子達にちっとも追いつかない。
一生懸命追いかけるけれど、十五分必死で走り回っても、誰も捕まえることができなかった。
そのうち、見かねた先生が、わざとスピードを落として私に捕まってくれた。