世界を濡らす、やまない雨
「有里。本当にこのまま辞めちゃうの?」
目を逸らす有里を見つめながら尋ねると、彼女は皮肉っぽく笑った。
「辞めるよ。問題起こした以上いづらいし。別にあの会社に未練ないから、すぐ他の職場探すよ」
「ねぇ、有里」
「何?」
有里が面倒くさそうな目でちらっと私を見る。
少し躊躇ってから、私は有里に尋ねた。
「有里、本当に不倫だったの?」
「どういう意味?」
途端に有里の表情が変わった。
眉を寄せ、目を釣りあがらせて私を睨む。
私は一度肩を震わせると、怖々口を開く。
「その、課長に無理やり……とか、そういうことは」
もし有里が私と同じような目にあっていたのだとしたら、彼女は悪くない。
私のように、怖かったはずだ。