世界を濡らす、やまない雨
申し訳なく思いながらも首を傾げると、彼は少しがっかりしたような顔をした。
「本当に覚えてない?この前、道木さんの会社の子達と合コンしたときに会ってるんだけど……」
あぁ、あのとき────……
有里に誘われて渋々参加した合コン。
彼女たちの引き立て役を自ら買って出た私は、その場にいた相手の男性たちの顔をひとつも覚えていなかった。
と言うよりも、どの顔もまともに見ていない。
「あの、すみません。私……」
「俺、一応道木さんの正面に座ってたんだよ」
苦笑いを浮かべながら、彼は言う。