世界を濡らす、やまない雨


そういえば……、顔も上げない、ほとんど言葉を発しない。そんな私に、正面に座る男だけが気を遣って話しかけてくれていた。


有里や他の二人に比べて印象が悪かったであろう私のことを覚えていてくれたことが驚きだ。


目を見開いて彼を見上げる。


「やっぱりあのとき、道木さんは俺の話なんて少しも聞いてなかったんだね。まさかあんなとこで道木さんに会うと思わなかったから……俺、ちょっとテンションあがったんだけど」

苦笑いを浮かべながら言う、彼の話の内容がいまいち掴めない。


ほんの少し眉根を寄せると、彼が突然ふっと目尻を下げて微笑んだ。


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