世界を濡らす、やまない雨


もし今彼女が私の隣にいたとしたら……


憂鬱な顔をして歩く私に何と言うだろう。


顔を傾けて笑う彼女の肩で、今も真っ直ぐな彼女の髪の毛の先がさらさらと揺れるだろうか。


自分から手を離したくせに、そんなことを考えてしまう。

そんな自分を、私はずるいと思う。


心の中が濁った嫌な気持ちに支配される。

それを払いのけるように、私は目を細めて太陽を睨んだ。

睨む私に対抗するように、なおいっそうぎらぎらと光る太陽。


その太陽の攻撃に私は少し怯んだ。


< 88 / 237 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop