長い夜の甘い罠【完】
バスローブの帯を括り、男が居るであろうリビングへと入ると男はソファーに背を凭れ掛けさせてテレビを見ていた。
溜め息が出そうになるのを堪えながら男の座る隣りへと腰を下ろした。
「…私、彼とは何もしてないのよ」
「だろうな。男の形跡が見当たらなかった」
「…形跡って」
「たまたまだろうがな」
「…それは」
確かに男の言う通りよ。
本当はあの時、確かにセックスをするつもりで家に招いたんだもの。
ただたまたま出来なかっただけの話。