長い夜の甘い罠【完】


確かに、こうして抱かれていると不思議と安心するのはある。

けれどこれは父親に求める様な安心感に違いない。

男としての好きとか、求める愛情とはまた違う。

そもそも私は特定の男は要らないし、誰かの特別になりたいとも思わない。

この男がどれだけ頑張ったって、時間の無駄だと思う。


「時間の無駄よ」

「構わない」

「もう良い年でしょ?あっという間におじさんになるわよ?」

「上等だ」


男はふっと鼻で笑うと、私の頭へと頬擦りをした。


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