長い夜の甘い罠【完】
「どうして私なの?貴方程の男なら他にも沢山の女を選べるでしょう?」
「一目惚れに理由がいるのか?」
男は私の腰をぐっと引き寄せ、私の瞳を覗き込む。
その表情から嘘がない事が伝わるものの、男の気持ちを素直に受け止める器は私にはない。
男の厚い胸板をぐっと押して引き離そうとするものの、強く抱き締められている為逃れられない。
「…離して」
「気付いてないみたいだが、お前の心は俺へと傾いてるのは確かだ。何が何でもお前をものにする」
「…自意識過剰だわ」
「何とでも言え」
貴方の事、好きになんてなる訳がない。絶対にならない。