長い夜の甘い罠【完】


「…それ飲んだら帰ってね」

「断る」

「へ?」

「お前が安眠出来る様に、今夜は傍にいたい」

「…私なら大丈夫よ」

「嘘付け。目が腫れるくらい泣いただろ。それにまた、悪夢を見たらどうする?」

「その時はその時で何とかなるわ」

「何とかなったら良いがな。どうなるか分からねぇだろ。今夜くらい甘えたらどうだ」

「…嫌よ。貴方に甘えたりしない」

「強情な女」


男は珈琲を飲むと余裕そうな軽々とした表情を浮かべれば、強引に私を姫抱きする。


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