長い夜の甘い罠【完】
…私は。
…ダメなの。
「…私は……」
「美咲」
「?」
男は私の唇へと人差し指を宛がい優しく微笑んでみせる。
「お前に言葉を求めた訳じゃない。俺がただ言いたかっただけだ」
男の言葉が胸に突き刺さる。
その言葉が何を意味するのか、こんな私でも理解出来た。
男は何かを求めてる訳ではないって事、男の想いが口に出たって事くらい私にだって分かる。
私はきっとこのままだと、引き返せなくなってしまう…。