長い夜の甘い罠【完】


「有難うございました」


無事、引越しを終えて引越し業者が帰るとさっきまで住んでいたハイツとは少し違い古い感じだけれど住む分には申し分ない。

部屋に入り無造作に置かれた段ボールのどれから手を付けたら良いのかと悩む中、不意にイルカのマグカップを鞄から取り出した。

これは大切な思い出のものだから、いつも見える場所に飾っておきたい。

イルカのマグカップを見つめると先週の土曜日にしたデートが脳裏にフラッシュバックする。


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