長い夜の甘い罠【完】


暫く走り続ける事二時間。漸く海岸線沿いを走り始めれば窓越しから見える海の青い光景に目を奪われ。

やがて車は車道から駐車場へと入ると駐車し車から降りて。

堤防の間にある階段を降りると砂浜へと足を踏み入れ、波打ち際ぎりぎりまで近付き海を眺め。

海を眺めていると何だか凄く懐かしい気分になる。まるで嘗て訪れた事がある様なそんな気分。


「綺麗ね、とっても」

「ああ」

「何だか凄く懐かしい……―――っ!」

「どうした?」


不意にズキンと頭痛に見舞われ、眉を寄せた。


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