長い夜の甘い罠【完】
「…っ……お母さん…」
…そう言えば、よく家族で海へ来た事あったっけ。今の記憶はその時のもの。
手が小さく震え始める。私の家族。今はいないけれど、確かに存在していた家族。
自然と涙が溢れ出る。
またあの時に戻れたら良いのに。家族四人でまた海で遊べたら良いのに…。
「…美咲」
「…っ…ぅ……やだ、触らないで!嫌っ!離して!」
男は私の身体を強引に引き寄せ、抱き締める。
抵抗しもがく私の力を無理矢理捩じ伏せ、その胸に強く抱き締めたまま離してくれない。