長い夜の甘い罠【完】


「…本当貴方って人は」


と、その時。

男の携帯電話が鳴り響いた。


「はい。…ああ、分かった。直ぐ行く」


すぐ行く?

仕事が入ったって事?

男は携帯電話をしまうと此方へと視線を向けて、その骨張った大きな手で私の頭をぽんぽんと撫でた。


「悪い、仕事だ」

「別に悪くないわ。ホテルへ行かずに済んで良かったもの」

「ふ、そうか。仕事から帰宅してからの楽しみにとっておくか」


この人は本当、毎日毎日よくやるわね。どれだけ絶倫なのよ。


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